自閉症の息子くんと、いっしょに。(仮)

息子が自閉症&知的障害と診断されて、色々考えることが増えました。家族4人一緒に暮らしながら感じたこと、考えたこと、とりあえず色々残していこうかな、と。

ハートネットTV

たまたま目についただけなのか、最近NHKを中心に発達障害自閉症について取り上げた番組をよく見かける。先日の金スマに続いてNHKではハートネットTVやバリバラで相模原事件をテーマにした特集、Nスペで東田直樹さんの特集、など。

ハートネットTVの特集は二日連続だった。1日目は犠牲者の記録を残そうとしている、やまゆり園の元職員二人への同行取材。亡くなった19名が匿名で発表されたことを「一人一人の人生が封印されている」と感じて、犠牲者を知る人たちの間を訪ね歩いている。2日目は一般の社会から隔絶されてしまいがちな重度知的障害者の施設を、番組のディレクターが訪れての取材記。余計な主張も演出もなく、障害を持つ人たちや彼らを支援する人たちに真摯に向き合っていて、やっぱりこういう番組を作ることができるのはNHKの良さだ。視聴率なんか気にせずこういう路線を突き進めばいいのに。受信料払うから(払ってます)。

 

僕自身は、事件の被害者が匿名で報道されたことには何も違和感は持っていない。むしろ普段何か事件が起きるたびに、そしてそれがセンセーショナルな事件であればあるほど、被害者のことが過剰に詳しく報道されるのにうんざりしているし、被害者は原則全て匿名での報道にすべきだとすら考えている。もちろん被害者自身や、不幸にして亡くなった場合にその遺族が自らの意志で名前を公表すると決断されたのであればそれは全面的に尊重されるべきだけど、その判断を外野、ましてやメディア「ごとき」が押しつけるのは許されないと思うのだ。

 

施設の元職員の方々は、メディアがいつも振りかざすような浮ついた正義感や筋違いの使命感で動いているのではないだろう。それは画面を通して充分に伝わる。自分が働いていた施設で、自分が支援していた方も巻き込まれて、傷ついて、もう二度と会えなくなってしまって。それはつらいよ。苦しいよ。悔しいよ。 だからこそ居ても立ってもいられなかったのだろう。だからこそもっと彼らのことを知りたくなったのだろう。番組の最後で職員の一人が、「彼らのことを忘れてしまったら、それは彼らを二度殺したことになる」と語っていた。それは犠牲者の方々と直接触れ合ってきた多くの人達に共通する想いだろう。そしておそらく、直接の関係はないけれど、僕のようにこの事件を他人事としてスルーできない理由がある、さらに多くの人達にとっても。

 

番組の中で、彼らがその足跡を訪ね歩いていた犠牲者の方々は、名前ではなく在りし日のエピソードに因んで「リボンさん」「ラジオさん」として紹介されていた。それでいいやん、と思った。名前を知っている人は、その名前とともに。愛称だけで知っている人は、その愛称とともに。知る限りのその人の声や匂いを、しぐさや行動を、忘れることなく覚え続けていれば。

 

続く。

 

Now Playing:

"Tellin' Stories" by The Charlatans, 1997

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